第19章 会議は笑わない
「――ってこんな茶番に10ページも費やすとかどういうことなの!? アーサーさんがおもしろく縛られてた記憶しかないとかマジ……ホントどういうことなのっ!?」
「そうだな、それじゃ改めて自己紹介頼んだぞ!」
完璧にスルーされる我が反抗。
アルといえば隣で爽やかに笑っている。
例のごとく「公子の席は俺の隣なんだぞ!」とご命令を下したためだ。
レジスタンス(?)は激しい抵抗をした。
しかし、これ以上騒ぎを続けるわけにはいかないと判断した。
なので、涙をのんでこのお誕生日席に座っているというわけである。苦肉の策である。
「……公子、無理に話すことないあるよ?」
穏やかだが、たしかな口調で耀が気遣ってくる。
私が「やっぱ言いたくない」と言ったら、その遂行のため全力で障害を排除してくれそうな表情だった。
その優しげな視線が私の隣にうつり、不愉快そうなものに変容する。
が、そんなもの見えていないのか、視界にすら入らないのか、アルはご機嫌だ。
私はため息をついた。
それから向き直り、笑顔を浮かべて言う。
「大丈夫ですよ! ただの自己紹介ですし」
「公子がそれでいいなら口出さねーあるが……」
彼の瞳には、別種の心配も映っていた。
なんとなく見当はついているが、ひとまずそれは置いておこう。