第18章 制約には切手を
しかし、アーサーは依然として哀れな状況である。
しかも私が招いた誤解のせいなので、ますます申し訳なくなる。
私はアルに懇願した。
「とにかく縄を外してあげて下さい! 洗いざらい話しますから!!」
「公子……!」
感動しそうなアーサー。
そしてフランシスこそ拘束されるべき、となおも騒いでいる。
しかしアルは対照的に、「まったく……」というように目を細めて、やっていられない表情をした。
それから私に向かって、
「ほっときなよ、どうせフランシスも隣に来る(変態の容疑で椅子拘束の刑を受ける)だろうし、騒がしい二人はまとめておく方がいい」
「……それはちょっとおもしろいかも」
「公子てめぇこらああああああ!!」
二人揃って隣になって縛られるとか、そんなおもしろすぎる光景を見てみたい。そして親分とギルと盛大に笑い転げたい。
さっきの感動を返せとばかりにアーサーに怒鳴られた。
「ともかくいいか!? 絶対公子を遅刻クソ髭に近づけるな!!」
わーわー菊やアントーニョと言い合っていたアーサーが、その場に向かって決死の形相で言う。
大げさな。っていうかそれフラグ――
「ちょっと口説かれてて遅刻しちゃった~って」
「あ」
キラーンと効果音を鳴らして、兄ちゃんもといフランシスが無駄に華やかに登場した。