第18章 制約には切手を
「公子ちゃん、だったわよね?」
「はい!」
と思うと、エリザが親しげに話しかけてきた。
「私はエリザベータ、よろしくね」
「はい、よろしくお願いしますエリザさん」
「やだ、敬語もさんもいらないわよ~」
「いえ、そんな、礼儀というかなんというか」
「もっと短い丈のスカートがよかったかしら」
「よっよろしくねエリザ!!」
マジ姉さんパネェと思っていると、視線の先にとんでもないものが飛び込んできた。
私がいるソファと一番遠い対角線上に、椅子に拘束されたアーサーがいたのだ。
「ちょっ……えええええアーサーさん!?」
「あっダメよ公子ちゃん!」
バッと駆けだしてそばに寄ると、アーサーも私に気づいたようだ。
後ろ手に縛られ、アーサーの足と椅子の足が、建物の太めの柱に結びつけられていた。これはひどい。だがちょっとおもしろくて笑いそうになる。
「本当にすみません私のせいで!」
「いや、お前のせいじゃない。それより、戻るのが自由にできないのはわかるけどな、……こんな時期に目の前で人間が消えたやつの身にもなれよ!!」
そりゃそうだと全力で同意しつつ、心配をしていたらしいことに頬がゆるんだ。