第18章 制約には切手を
私は、会議場のソファに寝かされていたようだ。
会議場を見渡すと、フェリちゃんやルートなど、ちらほら空席が見える。
それに香くん、ヨンスの姿も見えない。
見回していたところで、パっとノルと目があった。
美術品のような、どこか作り物じみて、綺麗に整った顔。
無表情なのが、一層浮世離れした雰囲気を深めていた。
その薄青い氷色の瞳に怪訝な影がさし、浮遊しているくるんが緊張したように見える。
――突然まえぶれもなく真面目な世界会議の場に枕を抱えたパジャマ姿で現れた今はメイド服の不気味にふふっと笑う女、としか認識されていないような表情だ。
「おめぇおもしれー奴だな!」
「ひぃっ!?」
突如バシバシと背中を叩かれる。
すぐそばのドアから入ってきたデンだった。
ノルさんの視線が、完全に同類と見なしていそうなものになる……oh……
「んーやっぱ普通の人間け?」
「ほぁいッ!?」
顔を至近距離で覗きこまれ、頬をツンツンつつかれる。
魔法みたく突然現れたせいか、人間であることを疑われているようだ。
というか、キラキラ興味津々な碧眼がめいっぱい近く、鼓動が速まり思考停止しそうになる。
「うざい」
「あだっ!?」
いつの間に近寄ってきたのか、ノルさんがデンの背後に現れた。
シンプルかつ攻撃力の高い言葉を発して、デンの首根っこを掴みずるずる引きずっていく。
あの華奢で折れそうな体のどこから、デンを引きずる力が出るのだろうか……