第18章 制約には切手を
……となるはずはなく。
「やっぱり――」
眠るに眠れない。
もやもやが限界突破しそうになっていた。
片腕の枕を、そのままぎゅうっと締め上げる。
疲れきったため仲良くしたい上瞼と下瞼を酷使し、私はラジオを手元に引き寄せた。
「――やっぱりサッと行ってサッと帰ってこよう!」
あのおかしなゴーストタウンのことを告げて、帰れるまで適当に菊たちとたわむれていればいい。
一般市民、もとい異世界人の出番はそれで十分だ。
仮になかなか帰れなくても、幸い今日は金曜日だ。余裕はある。
それではなんと伝えるべきか?
怪しまれず、かつわかりやすく要点をおさえないと。
「実は変なところ経由したんですが、とか? あの様子じゃ私だけっぽいし。やっぱり、アーサーにもっと詳しく追及すべきだったなかなぁ」
――あとから思えば、このときの私は完全に寝ぼけていたと思う。
「(説明する)責任とって下さいアーサーさん」
とかかなー
思考を巡らせつつ、ふと顔をあげた。
「…………………………ん?」
目の前に広がる光景が一瞬理解できず、まぬけな声がもれる。
最初の感想は「わけがわからん」。
その次に思考停止し、冷や汗がぶわっと出た。
あまりに予想外すぎて、信じられなくて、いや信じたくなくて、なぜか「ふふっ」と自分でも不気味だと思える笑みがこぼれる。
私は、世界会議場に立っていた。