第18章 制約には切手を
悶々としているとさらに眠りから遠ざかる。
「あーもうやめやめ! 次行って帰されたときものすごい時間が経ってて、すっぽかし浦島太郎状態なんてやだし! っていうか私がいなくたっていろいろわかるだろうし……」
語尾をすぼませながら、そのことが私の不安を煽る。
量子テレポーテーション。
それは、A地点→B地点への物体Xのテレポーテートではない。
あれは、単にB地点で完璧なコピーを作るものだ。
A地点でXの情報をスキャンし、B地点で再実体化させる。
言うなれば、テキストデータを送り、受け取る側で用紙として出すFAXのようなものだ。
ただし、現時点で一番現実的なこの量子テレポーテーションには、ある“致命的な欠陥”がある。
「……――」
アーサーは、そしてあのときの私たちは。
頭を振って、胃を締めつける考えを放り出す。
大体いくら量子テレポーテーションつったってムリだ。SFか。猫型ロボットじゃあるまいし。
あの誰もいないところも説明つかないし、そもそも量子テレポーテーションと決まったわけでもない。
私は布団をかぶり直す。
次第に私の意識は薄れていった。