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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第17章 シュガーポットの在処は





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「おっかしいな~」

呼び鈴の前で湾は首をひねる。

先ほどからインターフォンを押しているのだが、いつまでたっても返答がないのだ。

訪問は事前に連絡していたし、不在は考えにくい。

訝しんでいると、ハッと湾は思いついた。

「もっ、もしかして……





疲れて寝てるんじゃ……」

ありそうだと一人頷き、やれやれと扉に近づく。

ゆっくりとドアノブに手をかけると、

「……あれ」

いとも簡単にドアノブが沈んだ。

湾は面食らって、思わず声をもらす。

ネットゲームでも、なぜか厳重な戸締まりをしていたヨンスだ。

パスワード解析などといった重大な作業に、鍵をかけないままにしておくとは少々考えづらい。

不可思議に思いつつ、玄関に踏みいる。

靴がまさに“家にいるぜ!”というかんじに置いてあった。

ますます不在が考えられない。

「湾だヨー……」

呼びかける声が、無意識に情けないものとなっていた。

――人の気配が、しなかったからだ。

「香? ヨンスー?」

かわりに聞こえてきたのは、単調なリズムを繰り返す電子音だけ。

それに、どことなく外と中の温度が違う気がする。

なんだか少し、寒い。

「…………」

一体なんだというのか。

自らの弱気にかぶりを振って、湾はひとまずリビングに向かう。

リビングに近づくたび、寒い空気を発しているものと音源に近づいているようだ。

意を決してリビングのドアを開く。

すると、全開に近いあけっぱなし状態の冷蔵庫が目に入った。

はやく閉めろとばかりに電子音を発している。

「な……なーんだ冷蔵庫か! ってもったいないヨ、温度変わるほど開きっぱなしだったってことでしょ!?」

安堵の笑みが浮かび、湾はささっと冷蔵庫を閉めた。

耳障りな電子音がパタリとやむ。

そこで、湾ははたと気づいた。


     、、
――なぜ、全開だった?



閉め忘れは大体が、ほんの一押しで済むくらいのものだ。

全開の閉め忘れ、なんてものは考えにくい。

こんなのまるで、最初から閉めなかったみたいだ。

しかし、閉めなかった状況が湾には想像できない。
、、、、、、、、
閉められなかった状況しか、考えられない。

「……っ!」

薄暗い予感に駆られた湾は、部屋を回って二人を探しだした。
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