第17章 シュガーポットの在処は
「アーサーさん、恐れ入りますがおかわりを頂けますか?」
「おう! ――ってアル、シュガーポットどこやったんだよ」
「だから知らないって言ってるじゃないか~俺がなくしたって確証ないくせに、いちゃもんつけてくれんじゃないんだぞ!」
「てめぇ……! すまないな菊、すぐ探すからちょっと待ってくれ」
「いえお構いなく。私も探しますよ」
「……菊、お前本当にいいやつだよな」
「俺をチラチラ見ながら言わないでくれるかい!?」
一連の会話が、脳のすみでなにかに引っかかった。
もやもやして、思い出せない単語を思い出そうとする、あのときの気分になる。
記憶の糸を、思考回路の導線を、必死で手繰りよせる。
『見てもないくせに』
「……見てもないのに、片方がわかれば――」
ぽろりと転がりでた呟きに、ルートがハッとなって私を見た。
交わる視線に、脳神経がビリビリと放電する。
見開かれたルートの瞳には、私と同じ結論が映し出されていた。
私は、それを、
「――量子テレポーテーション!」
瞬間、視界がいつかのようにすり硝子越しになり――
「なっ!? 公子さ――」
菊の声を遠くに、私は光にのみこまれた。