第17章 シュガーポットの在処は
「そういう超自然的移動の話を集めた人で、チャールズ・ホイ・フォートさんなんて有名ですよね。ほら、“呪われし者の書”とか!
『この本ではおもに、ものを移動させる力が存在するという兆候を扱う。私はこの力を――“テレポーテーション”と呼ぶ』
なんてもうかっこよ過ぎてどうしたらいいかわかりません!!」
よね? とアルに同意を求めた。
まくし立てる内に熱が入ってしまった。
チャールズ・ホイ・フォートといえば、超常現象研究の先駆者だ。
後続に多大な影響を与えたし、知名度は高い。
加えてニューヨーク出身、アルが知らないはずがない。
そう思ったのだが、
「?」
口をもぐもぐさせて、アルは首を傾げただけだった。
うん……聞くタイミングを間違えたのかもしれない。
「よくご存知ですね」
「いえ、だいたい小説とか本から得た知識ですから」
菊が褒めてくるのが気恥ずかしく俯きがちになる。
「つまり、この状況では科学はもちろん、超自然的なあれこれも蔑ろにしない方がいい、ってのが結論です」
よね? とたまたま目のあったアーサーに確認をとると、輝くばかりの表情で元気いっぱいに頷いた。
うん……聞く相手を間違えたな。