第17章 シュガーポットの在処は
私は思いっきり「?」な表情をしていたと思う。
アーサーはばつが悪そうにつけたした。
「腹痛になりそうなイヤなかんじとか、予感じみた類のものだ」
「わからなくもないですが……つまりよくわからないんですね?」
アーサーは渋々頷いた。
本人がわからないのでは、――第六感のような非科学的なものでは――これ以上の追及は無意味だろう。
そう思いながら、頭にはある風景が流れていた。
あの誰もいない風景だ。
ことによると――事態は想像以上に理解を超えているのかもしれない。
それもあって、フォローのつもりで言ってみる。
「ですが、そういう超自然的移動、もとい超常現象が科学を導くことだってあります。
例えば聖書。それに、2カ所同時に現れる“バイロケーション”というものに熟達していた、キリスト教の聖人や修道士の話もあります」
「あ、聖書のそれ覚えてるよ! たしか『主の聖霊はピリポを連れ去った。だがピリポはアゾトスで見つかった』でしょ?」
「すごいですね! 驚きました、覚えてるんですか」
「えへへーまあね」
もっと褒めてと言わんばかりに、フェリちゃんが顔を緩ませる。
なんかこのフェリちゃん私の知ってるフェリちゃんと違う。