第17章 シュガーポットの在処は
「次にその2、時空を歪ませて起こすテレポーテーションです。これも完全にサイエンス・フィクションの世界でしょう」
「時空を歪ませるためには、宇宙10個分のエネルギーが必要だとか」
菊の言葉に頷く。
「はい。なので違う可能性を探る方が賢明でしょう」
アルが口を挟みそうになったのを押しとどめ、私は次にうつった。
「その3、何らかの方法で2地点間をワープするテレポーテーションです。
例えばより高次元を近道としたり、いわゆる亜空間とやらを使ったり。この“何らかの方法”に時空を歪ませるのが入る場合もありますが、まぁ架空技術なので定義や種類は以下省略」
「結局曖昧模糊としてるじゃないか」
まくし立てた私は、再びアルににこやかな微笑を投げかける。
アルはびくっとして、「?」を浮かべた表情でまた同じ質問をしようとした。
それをアーサーが横からひっぱたく。
そんなアーサーに、私は詰め寄った。
「そ、れ、で! アーサーさんはどうしてテレポーテーションのタイミングがわかったんですか?」
問い詰めると、アーサーはなんとも言えない顔をした。
答えあぐねているのか、口元でもにょもにょ呟いている。
「……なんつうかな」
「はい」
私のキリッとした返事、そして他の4人の視線。
目線をそれから逃しながら、ティースプーンを所在なげに動かして
「むっ、虫の知らせ、みたいなかんじだ」
と、言った。