第17章 シュガーポットの在処は
そして頼みの綱、最後の希望ルートヴィッヒさんといえば、
「……なに見てるんでしょうか」
「――あっ、すっすまない!! なんでもないんだっ!!」
さっきから、このやりとりを幾度くり返しただろうか。
――ふと気づくと、ルートにじっと見つめられている。
これ以上ない、無の境地に達したような真顔に、穴があきそうな凝視のビーム。
そして、時折口の中で菊みたくぶつぶつ呟くというおまけつき。
話しかけても「そうだな……」とか「あぁ……」と、壁相手に会話しているようだ。
はっきり言って、これまでにないタイプの恐怖を感じた。
ことによると、ルートヴィッヒさんはまわりを纏めるのに疲れ果てて、ストレスが限界まで達しておかしくなってしまわれたのかもしれない。
アーサーには、私からおおまかな事情を洗いざらい話した。
アルは、さっきのように飛びかかってくる気配がない。
私の身の安全(?)が確保されたと思ったのか、ルートも自分の世界に没入している。
「公子ちゃんのほっぺたぷにぷにー」
「ひゅぶっ!? ちょ、どこさわってるんですか!!」
フェリちゃんは……うん、フェリちゃんだ。
このままではダメだ。
本当にダメだ。
香くん風に言うとぶっちゃけマジヤベェ。
私はすーと肺に空気を満たし、
バンッ!
机を叩いた。