第17章 シュガーポットの在処は
私、公子はイライラしていた。
窓をたたく雨音は心地いいのに、イライラしていた。
というのも、話し合いが遅々として進まないのだ。
さっきまで話し合いのような話し合いをアーサーとしていたが、
「砂糖どこだい?」
「さっき自分で持ってったろ。つかその前に俺が入れたっつの」
「ついさっきまでここにあったのに」
「知るか。いつもの場所にないし、シュガーポットごと持ってくのはアルくらいだろ。お前のとこにあるはずだぜ」
「見たわけでもないくせになんだいそれ」
「――って大体人の紅茶にバカスカ砂糖入れ過ぎなんだよこのメタボ!!」
「なっ、きっ、君の紅茶が薄味なのがいけないんじゃないか!」
「んなぁ~にイイイィィィ!?」
このように、どこまでも不毛な争いの真っ最中に行ってしまっていた。
「菊もこのハンバーガー脳になんか言ってくれよ!」
「……いや……しかし……その可能性も……」
喚くアーサーを華麗に無視し――というか気づいていない――、菊といえば完全に自分の世界に入っていた。
なにを考えているのか、私が持ってきた本を片手に深い思索に沈んでいるようで、声をかけづらい。
本を渡してから、ずっとこんな調子だ。