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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第16章 尋問は庭先で


「そんなわけで移動先はわからなかった。そこで、俺は考えた」

「……自分が消失点にいれば、移動先の再帰点に行ける。そう考えたんだな?」

ルートの問いに、アーサーは頷いた。

菊の話を思い出すと、物の移動はあっても人の移動はなかった。

もし人が勝手に移動してしまったら、失踪事件が多発しているはずだ。

移動するのは物だけなのか? でも現に今私たちは――

「随分思い切ったね~」

「ただの考えなしの馬鹿だよ!」

「アル黙れ。
移動、いやテレポーテーションが起きるタイミングはまだ解明できていない。ランダムかもしれないし、何らかの影響を受けているのかもしれない。
しばらく庭で張り込むつもりだったが、ラッキーなことに二時間待ったら突然……本当に魔法みたく、気づいたらあの駐車場にいた」

「魔法みたいなというところをもうちょっと詳しく」

「公子も体験しただろ、あんなかんじだ」

「あ……そうですね、はい」

“あの死んだ街も?”

濁した言葉の続きは、口に出せなかった。

アーサーの口振りは、なんの通過点も経ず、まさに庭の消失点Aから、駐車場の再帰点Bへのテレポーテーションを表している。

あの静寂に沈んだ街Cなんて

――私しか、知らない?
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