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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第16章 尋問は庭先で


「VOCALOIDだっけか? いくら高性能でも、アニメキャラで装飾された発信器は……まぁ目立ってよかったが」

「痛発信器とか言わないで下さい!」

「いや言ってねぇし」

はぁ、なるほど。

呪詛のような声音にも納得できてしまう。

と、菊の瞳が私にとまる。

私はびくりと固まった。

「公子……さん……」

噛みしめるように、菊が呼んだ。

私は目の前にいるのに、今にもどこかへ行ってしまう人へ呼びかけているような。

困惑と安堵と怒りとが混ざった表情。

その唇が、静かにひらく。

「なんの……なんの前触れもなく急に姿を消されたのには、公子さんの故意ではないとしても大変心を痛めましたが――」

「は、はい……」

なにかを押し殺した、低い声に縮こまる。

とんでもない心配をかけたことを、ひしひしと感じる。

土下座したい気分で俯きがちになると、

「またお会いできて、嬉しいです」

ふわりと、柔らかな声が降ってきた。

怖い顔をといて、菊が小さく微笑していた。

つられて口元が緩む。

「私もです!」



それから、制服(+その他)を取りに来たこと。

湯のみのこと。

(私、ルート、菊の謝罪合戦と化した)

それらを経て、アーサーのターンとなった。

空を見上げながら、彼は続きを話し始める。
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