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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第2章 邂逅と眩暈と


「私は信じます」

「!?」

意外にも、口火をきったのは菊だった。

「最近そのようなラノ――いえ、小説を読みました。それに、最近起きていることを考えれば……」

ん? 最近起きていること?

「そして公子さんは敵――害意のある方ではないようですし、嘘をついているようにも見えません」

「て、敵っ!?」

物騒な単語に思わず叫んでしまった。

が、菊はなにも言わず。善処されてしまった。

「なにより……」

菊は少し目を伏せ、その流し目のような視線で私を射抜いた。

なにもかもを見透かすような、瞳の深い漆黒に落ち着けない。

「害意のある方でしたら、お風呂で倒れてしまうような可愛らしいことはなさらないかと」

「~~っ!?」

にこ、と、麗しくも悪戯っぽい笑みを投げられる。

かあっと顔が熱を帯びた。

くそっ!! 貴様は本当にあの慎ましやかな祖国なのか!?

果てしなく、遊ばれている気がする。

私は恥ずかしさに耳まで真っ赤にして、ひたすら俯いていた。
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