第15章 廃マンションにて
彼がなぜここにいる?
困惑の中、クラッと目眩が再び脳を揺らした。
頭の中が液状化したみたいだ。
、、、、、、、、
それに引っ張られているというか、
――戻されてる!?
「あ……くっ……!!」
ドン、と震動がおきた。
さながらそれは、定位置に戻されたような。
「よし、ついたぜ!」
「……これは……ふむ」
「ヴェ~すごいな、本当についちゃった!」
気づくと、私は薔薇の咲いた庭に立っていた。
目をしばたき、あたりを見回す。
アーサー、ルート、アルにフェリちゃん、それからいまだにのびている菊。
みんなが、何事無かったかのように、そこにいた。
、、、、、、
まるで私一人だけが、おかしかったみたいに。
なにもわからなかったが、ひとつだけ確かなことがある。
アーサーの満足げな口振りから、直感した。
“ここから俺の家に行けるぜ”
「テレポー……テーション……?」
「今回はたまたま無事だったんだよ。次はどうなるかわかったもんじゃない」
私の呟きは、アルのため息まじりの声にかき消された。
それにアーサーがかみつく。
「安心しろ、てめぇなんかには二度と使わせねえから」
「~~ッッ! 君は、ほんっとに分からず屋だなあ!!」
堪えきれないというようにアルが怒鳴った。
あー始まっちゃうよ。