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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第15章 廃マンションにて


「そういう問題じゃないってわからないのかい?」

「あ゙? さっきからなんだよ、喧嘩ふっかけてんのか」

「なにか不測の事態が起きたときどうするんだと聞いてるんだ!」

「はいはいクソ弟にご迷惑はおかけしませんよ」

「だ……か、ら! どうしてわかってくれないんだ!!」

「わかってるよ、お前が俺を嫌ってることは……よくわかってるからさ……」

ハハ、と死んだ魚の目で力なく笑うアーサー。

そこに、にこーっと無邪気な調子で、フェリちゃんが口をはさんだ。

「アルは、アーサーを心配してるんじゃないかな?」

なっ!? とアルが憤然と反撃する。

「心外なんだぞ!! そんなつもりは全くない! さっきも言ったじゃないか、なんで俺がこんなやつを心配しなきゃなんないんだっ!!」

「フェリシアーノ、気遣ってくれるのは嬉しいが、かなしくなるだけだからやめてくれ」

ポカポカ、いやドスドスと重い拳でどつかれながら、相変わらず死んだ魚の目で力なく笑うアーサー。

フェリちゃんが眉を下げた。

その目は、なにか死にかけた小動物を見るようだった。

「アーサー……あんまり、思い詰めないでね。お前ってご飯まずいしはっきり言って苦手だけど、なんかあったら俺んちきなよ? おいしいパスタやピッツァ作ってあげるから」

フェリちゃんの鬼畜じみた優しい言葉に、いろいろな意味で泣きそうなアーサー。

憐れみをにじませながら、ほんわり笑うフェリちゃんと見つめ合っている。

アルといえばそっぽを向いて不機嫌そうだし、菊はまだのびている。

なんなんだこの状況。

いっそのこと腹を抱えて笑いたかったが、頭を占めている感情がそれに勝った。

さきほど視界をよぎった人物。

もし私の推測が、視覚が正しければ、

あの人影は、あの銀髪は紛れもなく――ギルベルトだった。
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