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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第15章 廃マンションにて


驚いて振り返る。

そこにはフェリちゃんと菊をわきに抱えた――アルフレッドがいた。

焦燥に息を切らして、全速力で走ってきたことがわかる。

その顔には、怒りと懇願がないまぜになって浮かんでいた。

訝っていると、頑なにつぐまれていた口がひらく。

「アーサー……君は、自分が何をしようとしているのか、わかってるのかい?」

半ば睨みつけるような眼差しがアーサーを貫く。

その火傷しそうな視線を悠然と受けとめ、アーサーは口元で笑った。

「ビビってんのか?」

「なっ、違う! 俺はただ不安なんだ! わかってないことばかりで――その……君になにが起きたって、おかしくないんだぞ!?」

「心配してくれんのはありがた――」

「心配なんかしてないんだぞ!!」

「……いが、なにせ緊急なもんでな」

アーサーの言葉に、アルが私の方を向く。

迷いや躊躇い、そして諦めが宿った青い瞳だ。

傍らのルートも、二人のやりとりに何らかの確信を得たらしい。

目つきが厳しくなっている。

なんの話をしているのか。

私だけ、わかっていないようだ。
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