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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第15章 廃マンションにて






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ホコリっぽい玄関を抜け、亀裂の目立つ階段をおりていく。

どこへ行くんだと言いたげなルートだったが、沈黙を選んだようだ。

足音だけが、あたりに響いていた。

アーサーはC棟を出たばかりか、ついにはマンションの敷地からも出て行った。

その足取りはよりひとけのない、建物のまばらな方へ歩いていく。

そして、とうとうその足が止まった。

「ここから俺の家に行けるぜ」

彼が手で示した場所。

そこは、立入禁止とばかりに鎖で封鎖された、空き地も同然の駐車場だった。

絶賛困惑中の私とルートに、アーサーはどうだ! といい笑顔を向けてくる。

えー……と

反応しかねていると、ふいにルートが息をのむ。

「まさか、貴様――」

何を考えついたのか。

しかしアーサーは、そのリアクションに満足したようだ。

じゃら、と鎖をポールから外し、砂利の敷地内へ足を踏み入れようとする。

「待て!」

突如、実に不意なタイミングで叫び声が上がった。
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