第15章 廃マンションにて
「おい!」
ぺちぺちと頬をたたかれる。
ハッと目を開くと、目の前に眉――アーサーがいた。
「おいお前今失礼なこと考えてなかったか」
「滅相もない」
……なんだ、夢か。
意味不明なそれを頭から追いやり、これまでのことを思い出す。
体調不良、フェリちゃんとアルの諍い……ここからは記憶がなかった。
思い出そうとする頭が少し重いが、体調はめっきりよくなっている。
「えーと……」
「ここは廃マンションの一室だ」
道理で、というような室内風景だった。
家具もなにもなく、割れた窓からの光が唯一のあかりだ。
しかも、壊される建造物特有の停滞した匂いがする。