第14章 高密度な静寂における解決策について
それに“眠っている”とは、どういう意味だ?
混乱する頭で、どうすべきか考える。
また追いかけっこになるのは勘弁だ。
かといって、アルフレッド突破も現実的ではない。
ならばきちんと事情を説明して、ひとまずの休息を公子に与えるべきなのでは――?
その結論に至ったルートヴィッヒが、意を決して声を上げようとすると、
「……め……さい……」
息も絶え絶えというような、声が聞こえた。
「……ごめんなさい……」
それは、彼女のものだった。
公子の口から、たしかにその言葉が流れだしていた。
長年の宿敵と対峙しているように向き合っていた、フェリシアーノとアルフレッドが、ぴたりと全ての動作を止める。
「……さい、ごめんなさい……」
発熱中のうわごとのように、それはくり返された。
意識があるのか、それとも無意識の寝言のようなものなのか。
わからないが、彼女は目をつむったまま、今にも泣き出しそうに顔を歪めている。
しばしの間、虚をつかれたように2人はボーっとしていた。