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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第14章 高密度な静寂における解決策について


物置から出ると、さびれた“いかにも”な廃マンションが現れた。

「うぁ……」

「ひぃっ!」

「っ!? ……って今の呻き声は公子の声じゃないか!」

「ごっ、ごめんびっくりしちゃって」

腕の中でぐったりしている公子。

さっきまで元気そうだったのに、この変わり様だ。

思えば彼女と最初出会ったときも、このように体調が悪そうだった。

しかし、その後憑き物がおちたようにケロッと治っていた。

それで安心したのが、間違いだったのだろうか。

ルートヴィッヒの中に焦燥が降り積もっていく。

「向こうの棟――C棟は施錠されてないはず。開いててここから一番近いのはそこだよ」

「わかった」

フェリシアーノの先導で歩いていく。

彼の足取りも、いつもより速かった。

周囲に気を配りながら移動していると、建物が見えてくる。

“C棟”と銘打たれたそれは薄汚れ、ヒビが絶妙な具合に不気味さを醸し出していた。



不意に、フェリシアーノがぴたりと歩みを凍らせた。

すぐ目の前に入り口、というところで。

地面に糊付けられたように動かない。

そればかりか、彼の瞳は大きくひらき、唖然としていた。

「フェリシアーノ?」

尋ねた彼の、目つきが変わった。

すうっと鋭く細められた瞳は、他の誰でも、何でもなく、ただ眼前を見据えていた。

思わず身体が竦んでしまいそうな視線の先に――

「――アルフレッド」

名を呼ばれた彼が、入り口に門番のように立ちふさがっていた。
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