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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第14章 高密度な静寂における解決策について


やわらかな震動が起こり、エレベーターが止まる。

扉がひらき、小さく薄暗い物置のような部屋に出た。

背後で音もなく扉がとじる。

振り向いて、エレベーターの入り口があった場所を見ると、そこはただの壁だった。

うまく隠したものだと、いまさらながらルートヴィッヒは感心する。

「ここを出て店は遠いし、ルートも公子ちゃん抱っこしたままじゃ長距離移動は難しいよね。やっぱり兄ちゃんか誰か呼んで車とか出してもらわないと……早く公子ちゃんを安静にしてあげたいし」

「落ち着け、慌てても仕方ない」

「慌ててないよ、冷静なつもり。とにかくこのせまい物置から出よう。この外は確か廃マンションの敷地内だったはず」

すらすらとよどみなく流れる言葉と、一分の隙もないフェリシアーノの瞳に、ルートヴィッヒは驚いた。

この危機的状況にへばっていても不思議ではないのに。

獲物を見定めるがごとき冷静さだ。

たまに、本当にたまにこういうことがあるから、こいつがわからない。

「でも……アーサーんちの廃マンションとか、怖すぎるよね……」

「あ? あ、あぁそうだな……」

ふえぇと泣きそうなフェリシアーノ。

――やっぱり、こいつはわからない。
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