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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第2章 邂逅と眩暈と


「あの、公子さんは日本からいらしたんですよね?」

「はっはい、そうです」

菊の遠慮がちな問いに、あわあわと答える。

瞬間、嫌な予感が、ビリッと脳内を走った。

もしかして彼らは――




「おかしい。話どおりの時間、日本に地震はなかった的な」




しん、とあたりに静寂が降りる。

香くんの厳しい声が、耳の奥で残響していた。

「……えぇと、ですね……」

言いよどみつつ、あぁやっぱり、と心の中で呻いた。

どうやら彼らは、“彼らの世界の日本”から私が来た、と考えているらしい。

君たちはマンガの世界のキャラクターで、私は現実からそこに迷いこんじゃったんだよーたはは参ったなー

……なんて、口が裂けても言えない。

頭を抱えたい気持ちで、必死に考えを巡らせる。

結果口をついたのは、こんな言葉だった。

「も、桃太郎って知ってますか?」

微かに自分の声が震えている。

皆が呆気にとられている中で、私と香くんだけが、ひきつった笑みを浮かべていた。
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