第14章 高密度な静寂における解決策について
静かなエレベーターの中。
かすかな移動音がするだけで、ほとんど無音の空間だ。
おまけに、立てた鉛筆が倒れないであろうという程の震動のなさ。
自分が今本当に地上へ昇っているのか、わからなくなる。
「最新機なんですよー!」と菊が自信ありげに言っていたが、全く恐れ入る。
しかし、この無機質な状態に、ルートヴィッヒは未だに慣れなかった。
「おかしいな……もう電波遮断区域は過ぎたはずなのに……」
フェリシアーノが不安げに眉を下げる。
手にしているのは携帯電話だ。
「どうした?」
「菊が電話に出ないんだ。まさかアルフレッドとかに――」
「……」
しまった。
ルートヴィッヒは頭を抱えたくなった。
地上に出た後のことばかりが脳を占めていたせいで、菊のことをすっかり忘れていた。
それにギルベルトの行き先も気になる。
黙りこんだまま、益々表情を険しくさせるルートヴィッヒ。
フェリシアーノも言葉が見つからなかった。