第12章 幻想変動率XX%まで
けど、と耀が言った。
「あれからいろいろ調べたある。公子に言われるまで、地球外の月なんて眼中になかったあるから」
だろうね。
真面目に調査してる中、
“これは月が関係している!”
なんて。
可能性の低い、非科学的といわれても仕方のないものを気軽に言えるのは、私のような一般人だけだ。
「したらびっくりあるよ! おもしろいのが結構出てきたある! 今は菊たちといろいろ仮説をたてて、議論してる最中あるが……」
そう言って気難しげに腕を組みながら、耀は画面を睨みつけた。
そういえばさっきも、このことで礼を言われたな。
思いのほか役に立てたようで、自然と顔がほころんだ。
「ちょっとでもお役に立てたのなら嬉しいです」
「ちょっとじゃねーあるよ、もっと誇らしげにするある!」
「そ、そんな」
「そうある! 公子を研究所のメンバー009に登録するある!!」
「いい考えネー!」
「あの……」
なんだか盛り上がっている。
二人ともノリノリだ。
メンバーなんて、トーシローな私が紛れ込んでもいいのだろうか。
しかし水を差すようで気が引けて(実際差す隙などなかったが)、私は愛想笑いを浮かべていた。