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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第12章 幻想変動率XX%まで


「――ってそれおかしくないですか!?」

「かなりおかしい」

「めちゃくちゃおかしいある」

二人の声がデュエットする。

ルートは困惑のためか厳しい顔。

耀は勘弁してくれと言わんばかりの表情だ。ホント嫌そう。

それでも、グラフを指さしながら口を開いた。

「これは月齢を横軸、意識障害件数を縦軸としてるある。場所も右上からフィレンツェ、ロンドン、島根県、アストラハン――これはロシアある、フィラデルフィア、コペンハーゲン、みんな違うある」

島根県という絶妙なチョイスへの感慨もあり、私は頷く。

それになぜ月齢を使ってるのだろうか?

「当然分母となる人口、発生件数も違うある。けどパーセントに直すと、全部一緒ある。ぜ・ん・ぶあるよ!? 他にもデータがあるバンクーバーや香港、チューリヒ、ニュージーランド全土とか、分母もなにもかも違うのに全部が全部変動率が同じある! わっけわかんねーあるッ!!」

「おっ落ち着いて!!」

うわぁあと頭を抱え叫ぶ耀を、必死で湾ちゃんと慰める。

その中で、今言われたことを考えていた。

ニュージーランド全土と島根県。

分母の人口は全く違う。

そしてそれぞれの地域での意識障害件数も違う。

しかし、その増減の推移をパーセンテージに直すと、全部が全部一緒だなんて。

まるで――

「……完璧に計算された度合いで、なにかの力の影響を受けてるみたい」

「なんの力だよ?」

「……月?」

ギルと私は顔を見合わせる。

一同は、深いため息に包まれた。
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