第12章 幻想変動率XX%まで
「――変動率が全く同じだな」
「へんどうりつ?」
いすに座る耀のかたわらで、ディスプレイを覗きこんでいたギルが頷いた。
私には単語の意味がわからない。
すると、隣にいたルートが説明しはじめた。
「時間などの2地点間における、その数値の差、つまり変化した量の比率のことだ」
「あー……はい……」
そんな私の反応に微苦笑しながら、ルートは続ける。
「例えば、ある人の今月の体重が42Kgで、先月が40Kgだったとする。すると」
ルートは一度言葉をきって、手近なホワイトボードに書き出した。
(42-40)×100÷40=5
「このような式により、変動率は5パーセントとなる」
「つまり、どれくらい数値が変わったか、っていうパーセンテージですか?」
「ざっくり言うとそうだな」
「わかりました」
生真面目そうな字に、私は頷いてみせた。
なるほど、変動率とな。
つまりにーにが言いたいことは、その6つのグラフの数値の差のパーセンテージが、全て一緒ってことか。