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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第12章 幻想変動率XX%まで


「兄貴、それくらいにしたらどうだ」

妙にイライラした声音のルートが、ギルを引き剥がす。

「今の症状は意識障害だな」

「それじゃ……みんな……幻だったんですね?」

ルートはしっかりと頷いた。

よかった、本当によかった。

無意識に力が入っていた肩が下がる。

これが異変――“意識障害”か。

身をもって経験するとは。

スッと背筋に冷え切ったものが走った。

まだ脳裏に焼き付いている。

湾ちゃんの垂れた髪の黒。

耀の冷たい体の感覚。

フェリちゃんのもう起きそうもない背中。

そして、ギルの命を失った瞳。

――あんなもの、二度とごめんだ。

「……怖かったあるか」

「みんなが……し、死ん――」

「わかったある。思い出す必要なんてねーあるよ」

耀はふわりと優しく微笑して、私の両手をとる。

柔らかく、血の通った暖かさが伝わってきた。

「震えが止むまでこうしててやるある」

「へ……」

私、まだ震えてたんだ。

「……ありがとうございます」

「にーにとして当然のことある」

ドヤと息巻く耀。

……本当に、よかった。
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