第2章 邂逅と眩暈と
――……
帰宅したのは、おそらく18時過ぎごろ。
両親はおらず、家には私一人だった。
制服から着替えようとしたときだったろうか、地震が起きた。
体感では震度3くらい、ちょっと慌てるというレベル。
詳しい情報を得ようと、私はラジオをつけた。
始めに聞こえたのは、耳障りなノイズ。
それから、安心と信頼の国営放送に局番を合わせようとして、
「……え?」
机の端に置いたイヤホンが、声につられたように落ちたのをよく覚えている。
というのも、私は聞いたのだ。
その中に混じった、何者かの声を。
けれど、なにを言っているのかまったく聞き取れなかった。
人の声であることしか、わからなかった。
気になった私は音量を上げ耳を澄ました。
その瞬間だった、と思う。
キィィイインという、歯医者の使うドリルも裸足で逃げだすような、ひどい耳鳴りがしたのだ。
なにかと思う間もなく、頭をシェイクされた。
吐き気がしそうな酩酊感。
わけのわからないまま思わずしゃがみこんで――
「気づいたら、目の前に菊さんがいたんです」