第2章 邂逅と眩暈と
亜細亜組の本気、というやつか、威圧感が半端ではない。
キリリとした空気に私が気圧されていると、耀がおもむろに口を開いた。
「――お前がここに現れた理由を、教えてもらえるあるか?」
疑問形だが、それはほとんど“教えろ”という命令文だった。
5人の視線が、とても静かに突き刺さる。
「……わ、私は……」
どう、説明すればいいのか。
どんな説明なら、急に漂い出した警戒心をといてもらえるのか。
それがわからず、口がうまく動かせない。
無性に喉が乾く。
「その……」
私だってわけがわからない。
なのにこんなの、まるで尋問だ。
今の状況を正確に説明し、かつ、まともな人間として扱ってもらえるような説明があるなら、私は逆立ちで町内一周したっていい。
軽いパニックに陥りかけ――菊と目があった。
小さく、柔らかに、口が笑みを形づくる。
『大丈夫ですよ』
そう、言うように。
「……」
だんだんと頭が冷えていく。
思考がクリアに澄んでいく。
……うん、大丈夫。
だってみんなのことは、よく知ってるもの。
「信じてもらえないと思います。けど、聞いてもらえますか?」
一呼吸ののち、私はそう告げた。