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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第11章 ある報告書より


「その逆もありえます」

しかし、アーサーの努力もむなしく、菊の言葉はすらすらと流れだす。

「電離圏がこわれる、いえ――
、、、、
こわされて、相殺する力が弱まるのなら」

「なに……を……」

自分の声がかすかに震えているのをアーサーは感じた。

すぐにでも目の前の口を塞いでしまいたい、

そんな衝動に駆られる。

けれど同時に、次に下される宣告をはやる気持ちも抑えきれない。

「菊、お前――」


 、、、、、、、、、、、
「外部からの力が強まった、という考え方もできます」



「……!?」

一瞬、放たれたものの意味がわからなかった。

菊の言葉を幾度も反芻し、それが意味するものにようやくたどりつく。

“外部からの力”

それはすなわち、月や他の惑星の重力、潮汐力、宇宙の放射線、磁気などをさす。

それが、増幅させられている?

それが、地球に影響を及ぼしている?

「そんなの――」

無意識に声がもれていた。

いつのまにか握りしめていた拳が、行き場なく震えている。

「そんなの宇宙の創造主とかじゃなきゃ無理だろ! どうしたんだよ菊、なんかおかしいって。それにさっきからなにを隠してんだよ?」

たたきつけるように叫ぶが、語尾は途切れそうだった。

菊は、なにも言わないばかりか、ぴくりとも表情を変えない。

かわりに、機械じみて不気味なほど静かな動作で、携帯機器を差しだした。
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