• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第11章 ある報告書より


店内に入ると、テーブルにはまだ料理があった。

それは和やか(でもない)な食事風景の崩壊がついさっきだったことを、二人に感じさせた。

ひとまず二人は腰かける。

しばしの沈黙と逡巡のあと、アーサーは口を切った。

「き――」

「アーサーさん」

菊が声を放つ。

珍しい遮りと確かな声の調子に、アーサーは虚をつかれた。

――聞きたいことが、山ほどある。

あの少女は何者なのか?
話せなかった事情とはなんなのか?

なにより、なぜクローゼットから出てきたのか?(これに関してはなんとなく見当がついているが)

溢れそうな疑問を飲みこみ、アーサーは眼前の黒い瞳の感情を探るようにじっと見る。

「――……」

菊は一呼吸おき、

「この前、地震の報告書をいただきましたよね」

そう、始めた。
/ 378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp