第5章 服装改革②
「待って」という間もなく、京ちゃんは財布から夏目嗽石を取り出してテーブルに置いた。
目を丸くしてる私の方を全く見ずに、背を向けてドアから出ていく。
立ち上がった時ちょうど飲み物を運んできた店員さんが「お待たせ致しました」とカップをテーブルに置いたから、私はもう一度腰を下ろした。
言い訳するべきだったのかな。
別れよう、とか言われたらどうしよう。
でも何て言い訳すればいいの?
キスされてない、なんて嘘は、勘のいい京ちゃんだもん。
すぐにばれるに決まってるし。
言い訳を考えながら京ちゃんに電話するけど、出ない。
3回目にかけた時には留守番電話になっていた。