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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第12章 昇る泡 弾ける想い


*


「というわけで、明後日で、ちゃんはイギリスへ留学することになります」
お前たち、悔いのないようにな!特に男子!
九瓏先生がそういうと、クラスはどっと笑って。
「ちゃん、なんか言いたいことある?」
「んー、明日でいいかな。お別れの挨拶は。」
「あいよ、じゃあ今日のホームルームは終わり!」

きりーつ、きをつけ、れい、さようなら。

(この挨拶も、明日で最後か)

顔を上げた先の先生と目が合う。
屋上で話して以来、二人きりで会う事はなかった、けれど。

(ちゃんと、言うんだ。)

私はいつものジェスチャー…人差し指と、中指を唇に当てた。
先生は一瞬驚いた表情をした後、いつものようににっこりと笑った。

「用事あるやつは職員室な~」

先生はカモフラージュの嘘を大きな声で言いながら、教室を出た。

「。」
その時、後ろからアキラに声を掛けられる。
「アキラ、…どうしたの?」

「…がんばれ、な。」

それが留学に対してじゃない、とすぐにわかった私は小さく笑って、
「ありがとう。」
それだけ残して、急いで教室を出た。

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