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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第12章 昇る泡 弾ける想い





(さっきから、涙が止まらない)


先生の意味深な発言も、
アキラの、言葉も。

私の心をかき乱して、仕方ない。

寮のベッドに大の字に寝転がり、私は流れる涙もそのままに、考えを巡らせた。

(自分が、情けない)

先生と生徒っていう関係だからと、体裁を気にする振りして、可能性を気にする振りして
卒業してから告白しようなんて、自分の気持ちから逃げて、逃げて。

(アキラは、勝算がなくても、告白をしたんだ)

私みたいな弱虫じゃないアキラは、私の事を好きだって気持ちだけで
必死に動いてくれてた。

(それなのに、私は)

アキラのまっすぐな気持ちまで巻き込んで、自分の気持ちをどんどん静めて
最後まで、甘え続けてた、なのに。


『が幸せになれるのは、…俺の横じゃない。』


(アキラは、最後まで、本当に私の事を…)

せんせいしかみていなかった、わたしなんかの、ことを
あいしていてくれた。

またあふれる涙を何とかしたくて、体を横にする。

「…くろ、う…せん、せ」

一番好きな人の名前を、ゆっくりつぶやく

「くろう、けんと、せん、せっ…!」

ただ、それだけなのに。
「…っ、ひ、っ、…」

(涙が、止まらない。)

まるで、深海に沈めていた気持ちが、泣き出したように
私は声を上げて泣いた。

深海の中に沈んでいた、私の小さな恋心は
沈めるほどに、鎮めようとするほどに、どんどんどんどん大きくなって

何度も何度も、声をあげて泣いていたんだ。ずっと。


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