第1章 揺れる青髪に、恋
私は一応、大手企業の社長令嬢に当たる立場の人間である。
兄と私の二人兄妹で、後継ぎだなんだというのは兄が全て背負っていた。
妹である私は勿論すべきこと…お習字やらお茶やら、必要最低限のマナーはしっかりと叩き込まれたのだけれど、父も母もそこまで厳格な人ではなく、それなりに楽しく生活をしていた。
今も、別に素行が悪い訳でもないのだけれど、幼いころからスケートボードや、ストリートダンスが好きで、両親の理解もあって趣味でぼちぼちと続けていた。
そういう所の仲間内はやっぱり、派手な子やほんの少し荒れた子もいて、そこの影響から、ほんの少しだけだが、煙草を吸うようになったのが中学を卒業した頃だったかな。
私は、縛り付けるほど逃げ出すタイプだという事を両親はよく理解していたのか、高校は全寮制のところにしてみるか?と言われてやってきたのがここ、私立クロノス学園であった。
実家からそれなりに遠いここで過ごすことで、悪い友達との縁を切ってほしかっただけかもしれないけれど、元からその子たちが無理やり勧めたから吸っていたわけでもないので、煙草だけはなんというか…癖、みたいなもので。
高校に入学した頃から、気軽にタバコが吸える場所が学校にあればな、なんて思っていた私は、ずっと屋上の施錠を解くことが出来ないかと考えていた。
(やーっと開いた!)
暇な日にそのカギをくるくると回し続けるという地味な努力を続けていたのだが、2年に上がってすぐ、私は屋上の鍵のナンバーをやっと解くことが出来た。