第5章 悲惨な過去
「岩の上を歩くのかな…」
女は怖がりもせずにひょいっと
湖の橋みたいにおいてある岩に飛び乗った。
(阿呆…その岩は渡るためのものではないんだが…)
性格上、見ることしかできず、
話しかけるのは無理だった。
後悔したのはそこからだ。
まぁ、いいかと思って
読書を再開させる。
本を読むことは一番有意義な
時間が過ごせる。
黒字で書かれた文字を目で追っていく
「きゃっ!!」
突然甲高い声が聞こえ、
すぐさま振り返ると岩からバランスを
くずして落ちかけていた。
「危ない!!」
俺はすぐさま湖に飛び込んだ。
意外と深い湖に足が
もつれそうになるのを
必死にほどいて女をかかえあげた。