第4章 記憶
コンコン。
失礼します、と執事さんの声。
入れ、と静けさの中に
亮の少し低めの声が響く。
執事さんは飲み物を
持ってきてくれたみたいで
私は机の上にあるのもを片付けようと
写真をとろうとした。
「あ…」
写真をとろうとすると
手が写真をはじいて
はらはらと宙を舞い、床に落ちた。
「ごめん」
慌てて拾うと裏面になっていた
写真は表面になっており、
写真の中に隠されたものを
私は目にしてしまった。
「…な、にこれ」
写真に写っていたのは
あのころと変わらずに
幸せそうな優しい笑みを
浮かべている母、花音。