第4章 幼馴染からのお願い
ス○バからの帰り道、私のペースに合わせて歩いてくれる。
本当はもう少し歩く速度が速い私は、及川先輩と一緒の時だけ、ゆっくりと歩いてしまう。
もう少しだけ、と思ってしまうから。
『ねぇ、先輩』
及「なぁに?」
その綺麗な顔には似合わない、突き指をして太くなった指を、きゅっと握った。
『手、繋いでください』
いつもは、家の近くになると、手をつなぐ事を拒む私。
今日は、触れていたい。
及川先輩はにやにやしながら、
及「今日の瑠維ちゃんは甘えん坊ですねー」
とか言いながら、私の手をぎゅっと握ってくれた。
私より、ほんの少しだけ暖かい手。
でも、私の手よりもずっとずっと大きい。
『甘えちゃって、ごめんなさい』
及「なに言ってんの。甘えていただけてむしろ光栄です!!」
真面目な顔して、物凄い事言ってるの気付いてますか?
と聞いたら、たぶん怒るので言わない。
そのまま二人で、ゆっくりとしたペースで歩いていく。
相変わらず及川先輩の話は、岩泉先輩ばかり。
それを聞いていて思う。
私と飛雄も、二人と同じ関係なのに。
どうしてわかってくれないんだろう?って。
及「瑠維ちゃん」
『は、はい!?』
及「ついたよ?」
考え事をしていたせいで、家に着いた事に気付かなかった。
及「じゃあ、飛雄に何かされそうになったら言うんだよ」
だから、そんな事絶対ありえないんですってば。
もしもだよ、もしも。
いたずらっ子のように笑い、ばいばいと
私と繋いでいた手を、及川先輩は振った。
『及川先輩』
私に背を向けて、歩きだしていた先輩の背中に飛びつく。
及「うわっ!?」
体勢を崩しながらも、なんとかこらえた先輩は、ちょっとだけ怒ったような顔でこちらを振り返る。