第2章 出会い
及「離れることは悪い事じゃないでしょ?…って瑠維ちゃん!?」
『っう…』
ずっと張り詰めていた糸が、ゆっくりとほどけるかのようにして涙が流れた。
止めようと思ったって、止まらない。
だって、ずっと泣いてなかった。
泣いてたまるかって、ずっと思ってた。
でも、この先輩は
泣いてもいいよって抱きしめてくれた。
そんなことされたら、涙がとまるわけもない。
どれぐらい経っただろうか、私は泣きやんではいるものの
どのタイミングで顔をあげるべきか、悩んでいた。
及「瑠維ちゃーん」
『…』
及「明日から、学校行く?」
え、と顔をあげれば、いつもの笑顔が待っていた。
『いき…ます』
及「よし、それでこそ瑠維ちゃん」
よしよし
そんな事を言いながら、私の頭をなでてくれる先輩。
『ありがとう、及川先輩』
私も、めいっぱいの笑顔で答えて見せた。
先輩に負けないような、そんな笑顔で。
そして、目線を下に逸らそうとした瞬間、顎を掬われた。
そのまま、柔らかい感触。
息をのむ。
しばらく、そうしていると、
先輩は我に返ったかのように、すごい勢いで私から離れた。
顔は赤く、目は泳いでいる。
及「ごごごごごごごごめんなさい!!なんか、その!ごめんね!!ごめん!!あああああああ、ごめんなさいいいいい!!」
『ちょ、先輩落ちついて』
パニックに陥っている先輩は、本当に面白かった。
『先輩、及川先輩?』
及「ごめんね、身投げでも何でもするから…」
『聞いてください!!』
先輩の肩をがくがくと揺さぶって、我にもどさせる。
『先輩はいつも、私が欲しい時に欲しい言葉を、期待した時に期待した行動してくれますね』
笑顔でそう告げると、及川先輩は目が落ちるんじゃないかと思うくらい目を見開いた。
及「えと…」
『先輩、一年間も待たせてしまってすみません
先輩の隣、まだ空いてますか?』