第10章 それは、雨の日の事。
ルーシィ「ま、待って・・・じゃあ、お兄ちゃんは今も記憶がないままなの?」
シルビア「誰かに触れれば、その人物の記憶は元に戻るようになってるらしいわよ。・・・少なくとも、この国に戻ってきたという事は、もう記憶がほぼ戻ってると言ってもいいわ。」
エルザ「・・・昔の記憶も戻っている、という事か?」
シルビア「えぇ。・・・僕とした事が・・核心を突かれて動揺しすぎましたわね。」
エルザ「・・・私達と戦うつもりか。」
シルビア「貴方達が僕たちの邪魔をするというのであれば・・・。」
ルーシィ「・・・?あれ・・?あの時も・・。」
シルビア「僕は、戦うよ。守りたいものがあるから。」
『僕は戦うよ。だって、守りたい物があるから。』
ルーシィ「・・・!待って!!」
ドスドスッと、鈍い音が響いた。
シルビア「・・・え・・?」
エルザ「シルビア!!!」
シルビア「・・おかしいな・・何で・・・僕を・・。」
「いくら貴女様が不老不死であっても、瀕死の怪我をすれば気絶くらいするでしょう。」
シルビア「・・・私のミス・・ね・・・。」
シルビアは、白いドレスを真っ赤に染めながら、地面に倒れこんだ。
ウェンディ「い・・いやぁぁぁああっ!!」
エルザ「何者だ!!」
お城の屋根上から、弓を持った一人のメイドが降りてきた。
「初めまして、ですね妖精の尻尾の皆様。私はここでメイドをしておりますスペラと申します。シルビア様の気を引きつけて頂き、誠に感謝しております。」
スペラは、自分で放った矢2本を迷う事なくシルビアから抜いた。
エルザ「・・・どういう事だ・・!」
スペラ「私は主の命に従ったまで。」
スペラはシルビアを抱き上げた。
スペラ「主が待っております故、失礼致します。」
ルーシィ「ま、待って!!」
スペラ「・・・おや、鍵の持ち主様ですか。しばらく鍵はお預かりしておりますよ。我が主が。」
シャルル「・・・どうやら、別の勢力がいるようね。」
スペラ「1つだけ助言させて頂きますと、リヒト様の方へ向かわれたお方の元へ急いだ方がよろしいかと。」
エルザ「!ナツに何をするつもりだ!?」
スペラは何も言わずに、姿を消した・・・。
ルーシィ「・・・何が、どうなってるの・・?」
気付けば、降っていた雨はやんでいた。