第10章 それは、雨の日の事。
グレイ「・・・その呪いを解く方法が、分かったのかよ。」
俺「どうやらそうらしい。・・・しかし、俺は記憶がないからな。もしかしたら記憶がなくなる前から知らなかったのかもしれないが・・・。」
グレイ「・・・それでシルビアはここに戻ってきた・・。不老不死って事はお前ら、100年近くその姿なのか?」
俺「いや、俺は違った。」
グレイ「違う・・・?」
俺「他の二人は知らないけどな。・・・俺の場合、身体が負傷に耐えられなくなると幼児体型に戻るんだ。」
グレイ「・・・は?」
俺「そうして、また成長して行って・・その繰り返しだな。つまり、俺のは不老不死ではなく、不死って事だ。」
グレイ「・・・今は・・その、大丈夫なのかよ・・・?」
俺「・・・?何がだ??」
グレイ「・・・精神、実験で壊れたんだろ?」
俺「・・・あぁ、問題ない。初めて幼児に戻った時に精神的にも安定した。」
グレイ「・・・ならいいんだが・・。」
俺「・・・でも、それでも思い出せないんだ。」
グレイ「・・・?何がだ??」
俺「・・・シルビアが、シロになった理由と・・本当にシルビアは俺と一緒に旅をしていたのかどうか。」
グレイ「・・・もしかしたら、シルビアと一緒に旅をしていなかったかもしれないって事か?」
俺「・・・あぁ。むしろその可能性の方が高い。」
グレイ「?」
俺「・・・シルビアと会った時、俺は記憶を失った直後だったと思う。空から飛んできたんだ。・・一緒に旅をしていたのなら、隣にいると思う。」
グレイ「・・・それはそうだな。」
俺「・・・魔法が使えないのが、こんなにもどかしいとは知らなかった。」
グレイ「・・・不死であるのが、嫌か?」
俺「・・・どうだろう。よくわかんない。でも、嫌ではないよ。」
グレイ「・・・そうか。」
俺「きっとシルビアとリヒトは、不老不死だからこそ感じたものがあったんだと思う。だから、不老不死を解きたいんじゃないかな。」