第9章 それは、晴れた日のこと。
リヒト「シルビアが驚かせてすまない。・・・彼女は気が荒くてね。弟がいないとダメなんだ。」
シルビア「・・・リヒト兄様も同じでしょう。」
リヒト「そうだね。僕もいないと困るね。」
エルザ「・・・その弟は、まだ来ていないようだが?」
ルーシィ「・・・ん?でも、街の人は王女が戻ってきた。王子はまだって・・・あれ?」
リヒト「僕は夜中に戻ってきたからね。街の人達は気付いていないよ。」
グレイ「・・・何が目的だ?」
リヒト「目的?」
グレイ「100年もここに戻ってきてなかったんだろ?・・・100年も過ぎた割に若いのが気になりはするけど。」
リヒト「・・・弟なら、昔戻ってきていたんだよ。ちょうど、10年ほど前に。もう出かけてしまったけどね。」
シャルル「・・・つまり、10年前には王女は戻ってきてなかったわけね。」
リヒト「僕たちは弟を待っているだけだよ。・・・大事な大事な、弟をね。」
エルザ「レン・ローゼンクロイツとレン・ディオグランツが同じ名前なのは何か共通点があるのか?」
リヒト「・・・なるほど。レンを知っていたんだね。・・・妖精の尻尾だから当然か。」
ルーシィ「!じゃあやっぱりお兄ちゃんはあの物語通りルーナ王国の王子!?」
リヒト「・・・お兄ちゃん、だと?レンの妹はシルビアだけだ。呼ぶな。」
ウェンディ「え、でもお兄ちゃんがいいって・・・。」
リヒト「呼ぶなと言っているだろう。ガキ共が。」
ウェンディ「ひうっ・・・!?」
リヒト「・・・おっと失礼。・・・それより君たちの用件を聞こうか。」
エルザ「シロ・・・シルビアとレンを迎えに来た。」
リヒト「・・・ほぅ?」
エルザ「二人は妖精の尻尾の一員だ。迎えにくるのは当たり前だろう。」
シルビア「お兄様は戻っておられないと言っているでしょう。それに、私は戻りませんわ。」
ルーシィ「シルビア・・・!!」
シルビア「しつこいですわね。・・・まぁいいでしょう。そこまで言うのでしたら・・。」
ハッピー「!戻ってきてくれるの!?」
シルビア「貴方達を妖精の尻尾へ返さなければいいんですものね。」