第1章 下校
「かな、とめ…て、」
確認、と言ってたはずなのに、未だに止まらない振動に耐えかねて懇願する春香
このままじゃ、歩けないよぉ
でも、
「んー、どうしたの先輩?」
ほっぺ赤いよ?なんて言って取り合ってくれない奏
ーほっぺが赤いのはあなたのせいですっ!
なんて強気にむくれたいけど、絶対に止めてもらえなくなるからガマン…
「お願っ」
歩き出そうとする奏の制服の袖を掴む
今置いてかれたら、どうしたらいいかわかんないし…
「もー、しょうがないなぁ」
口調はのんびりとしたまま、そっと春香の耳元に唇を寄せて、
ーこのまま、バス停まで歩けたら、ね?
と意地悪く囁いた