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短編集「俺はもともと結構しゃべる」

第1章 進撃の巨人 エルド・ジン 「金髪のあなた」


私はいつも父の経営する日用品店の店番をしている。
調理器具や掃除道具等 お世辞にも大きいとは言えない店ではあるが、父が厳選して品物を選んでいることもあり 遠方から来る常連客も少なくない。

その日も、いつもの常連さんと世間話をしていた。
「アナちゃんも年頃だろ?いい人はいないのかい?早くいい人見つけてこの店を継いてお父さんたちを安心させてやらなきゃ」
ありがた迷惑ともいえる話に少し嫌気がさしてきた頃、あなたはやってきた。

綺麗な金髪を束ね、センスのいいショートコートにチノパン。
長身でがっしりとした体型に、あごひげを生やした整った顔。
服の上からでもわかるほど引き締まったお尻。

初めてのお客様であることはすぐ分かった。
「いらっしゃいませ」と声をかけた私を見やったあと、キョロキョロと店内に目をやる。
程なくして目的のものを見つけたのか掃除道具売り場の前に立った。
いろんな道具を物色したあと、最後に手を取った職人手作りのはたきを穴が開くほどに見ながら、考え込んでいるようだ。

大柄で筋肉質な体系から兵士ではないかと思うが、私服の為確信はもてない。
「兵士に掃除道具なんて必要なのかしら?大掃除の為の買い出しなら兵服で仕事中に来そうなものだけど・・・」そう思いながらも、私は初めてあなたに声をかけた。

「ハタキをお探しですか?こちらはシカンジナ区に住んでいた職人が作っていたもので、これが最後の1本なんです。とても腕のたつ職人さんで生地選びから厳選されているので本当にほこりがよくとれると評判なんですよ。」
営業スマイルで話しかけると、あなたの顔がパッと明るくなった。
「!!?やはりこれがエレンの言っていた・・・
これならきっと兵長も・・・」
今度はブツブツと
言いながら考え込んでしまった。

それもその筈。
そのはたきは通常の値段の10倍ほど。
生地もいいものを使っているし、何より手間暇かけて作られているものなので、値段が張ってしまう。
平の兵士にとっては痛い金額だろう。
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