第11章 おちゃめ
ユウさんが開いた小説の中身はというと、、
『ま、漫画、、?』
『そう』
そういい、子供のような無邪気な顔で笑った。
『真面目なのは見た目だけ、中身なんて所詮こんなもんだから』
『意外ですね、なんかホッとしました!』
『なんで?』
『ユウさんって人より優れてるっていうか、一歩先に進んでる感じでしたけど、意外とこういうお茶目なとこもあるんだなーって』
『んまぁ、世渡り上手ではあるよ』
確かに、仕事の時のユウさんは本当に別人だもんね。
『逆にお前って裏表ないよな』
『そうですか??』
『素直で真っ直ぐで、、そういうところいいと思うよ』
そこには、普段みせるクール顔のユウさんはどこにもいなくて、自然に筋肉が緩むような優しい笑顔のユウさんがいた。
この顔反則、、、。
『ほらまた、そうやって赤くなるところもな』
そういい、私の左頬を軽くつねる。
『やへてくだはいよぉおお』
案外まんざらでもなく嬉しいくせに、素直になれない。
私は素直なんかじゃないです、、。
『もうそろそろ皆起きてくる頃だから、顔洗ってきな』
『はい、、』
いつもよりとんでもなく優しいユウさん。
一つ一つの言葉に心が揺れる。
私は、つねられた左の頬を軽く触りながら、洗面台へと向かった。