第10章 綺麗なあの人
私は気になりながらも、練習を始めた。
ミレイさんの声は、すごい透明感があり天使のような歌声だった。
この声に感動したのは私だけじゃないと思う。
きこりんなんて口をポカーンっと開けて、夢中になって聞いていた。
最初の練習は、ほぼミレイさんの魅力を堪能しただけのような気がする。
練習も終わり、お兄ちゃんが迎えに来てくれた。
バンの扉を開けると、朝一緒だったカケルさんとユウさんの姿はなかった。
私は、お兄ちゃんの隣に座る。
『2人は?』
『もう仕事終わったから先に送ってきたよ』
なーんだ。
ま、家でいやってくらい顔合わせるからいいんだけどさ。
『んで、どうだったの?』
『私達のデビュー曲聴いてきたよ!すっごいいい曲なの!それでね、私達の歌とダンスの講師がかなり美人なの!』
『その人ってなんて名前?』
『一ノ瀬ミレイ、、』
私がそういうと、運転しながらお兄ちゃんは目を見開き、驚いた表情をしていた。
『れいな、顔見てなんも思わなかった?』
『え、、、しーといえばレンさんにちょっと似てるかなーとか』
『やっぱり分かってたんだね。ミレイはレンの姉だよ』
その言葉に、私の中にいたモヤモヤがスッとなくなった気がする。
やっぱりそうだったんだね。
どうりでレンさんに似てると思った。