第5章 紳士の意外な一面
カケルさんが出て行ってから、30分は経っただろうか。
廊下の方から少しずつ声が大きくなって聞こえてきた。
ガチャっと勢いよくドアが開く。
『れいなー!ただいま!』
私の顔をみるなり、シュンが子犬のように私のところへ走ってくる。
シュンのあとに他の皆もズラズラと入ってきた。
『おかえり!お疲れ様!!』
シュンは、疲れてる様子なんてこれっぽっちもない顔で、ソファに座っている私の横に座る。
『疲れたよー!カケル途中全然帰ってこないしさ!!』
『ごめん!ちょっとお腹壊しちゃってさ!』
申し訳なさそうな顔をして、両手を顔の前で合わせている。
『本当待ちくたびれましたよ!でも実はれいなとなんかしてたりしてー!』
私はアラタのあながち間違っていない言葉に少しドキッとした。
『そそそそそそそそんなわけなななないじゃん。』
えっ。バレバレだし!!嘘つけないタイプなんだなきっと(笑)
『はいはい!』
『え!なになに!カケルなんかしたの?!ハレンチだわっ!!!』
シュンが、両手を口に当ておねぇのような口調で言う。
『はぁ、、。俺やっぱ嘘つけないな。』
本当にいい人なんだな、カケルさんって。
『確かにれいなとは話したけど、アラタとかシュンが思ってるようなことはしてないからね!』
『え?思ってることってなにー?』
『なんでしょー??』
2人ともカケルさんが困るのを知ってて、わざと意地悪をしている様子。
『おいおい!からかうなって!』
そんなこといっても、顔は子供をあやすような優しい顔をしていた。
そこは紳士なカケルさん。
私なら顔真っ赤にさせてるところだよ!